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五つの塔の物語

Dark Kingdom3のBLOG。

   

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旅立ち

「で?戦争中の場所に行けというのに、何も武器とか用意してくれないわけ?」

「まさか。そこに置いてあるだろう?」

「それこそ『まさか』でしょう?」

「そこ」に置いてあったもの。
盾が2枚
分厚い布を胸に当てるだけの簡素な鎧
そして指輪が2個

相変わらず闇の中にいる相手に問いかける。

「武器なしで戦えというの?」

「不満かい?ならば・・・・・」

そういうと、そこにおいてあったものは消えてしまった。
代わりに置かれていたのは小さな革袋。
中をあけて見ると小さな銀貨が1枚。

「1000シリーン硬貨だ。それを持って買い物に行くがいい。」

ゴトン

どこかで音がして・・・すーーーっと光が差し込んでくる。
闇になれた目にはまぶしい。

「ここを出てまっすぐ道を降りていけ。
2件目の店が装備屋だ。買ったらもう一度ここに戻っておいで」

あたりを光が包む。
ここは・・・小さな部屋の中。机も椅子も窓もない・・・・
どこから声がしていたのか・・・・そこにはアイオナしか居なかった。


銀貨を持って扉を出る。
今までいたのは小さな灯台のようだ。

海のそば。海の向こうにかすかに青い塔が見える。
海の向こうにも灯台があるようだ。

真っ直ぐ道を降りて行く。
すぐにわかった。
1件目の店は何やら食料を売っているようだ。

2件目の店はどうやら装備を売っているようだ。先ほど灯台の中で見せられた防具も売っている。

「いらっしゃい!」

多くの装備が売られている。ショートソードや槍なんかも売られている。
300シリーン。
そんなに高くない。
だけど・・・・・気がつくと、盾と防具と指輪を買っている人が多いようにも見える。

「迷っているの?」

不意に後ろから声をかけられた。声をかけてきたのは先ほど灯台の中であった少女。
また、くすくすと笑われてしまった。

「気づいたでしょう?あの盾を買う人が多いこと、指輪を買う人が多いことに。」

「え・・・えぇ」

にっこりと笑う少女

「あの盾はショートソードほどじゃないけど、わりと強いの。それにね、安いから2個装備が簡単なの。
あの盾2枚でたったの360でしょう?ショートソードは2本で600・・・・それに比べると便利なのよ。
あと、何よりもあの指輪。あの指輪は身につけるだけで体力や気力を伸ばしてくれるの。あの指輪を2個買おうとするとショートソード2本と指輪2個で終わりでしょう?だけど盾2個なら服まで買えちゃうの。
それにショートソード1本よりは盾2枚の方が強いのよ?」

半信半疑だったが、そこで盾を使って素振りをする者が現れた。
盾を振ると現れる刃
なるほど。
あの刃があればそれなりに攻防一体の攻撃に使えるだろう。
それに指輪にそんな効果があったとは・・・・

「ね?どうするの??」

 

 

 

 

「よく似合っているじゃないか。」

灯台に戻って少女に言われるまま扉を閉めたアイオナにどこからともなく男の声が聞こえた。
悔しいが、最初に男が提示したものとまったく同じ装備を購入してきた。

「これ、返すわ。お金少しだけ余ったの。」

「そうか。彼女に渡してくれ」

言われるまま、少女に革袋を渡した。
革袋を持って少女もどこかの闇に消えた。

「では、幸運を祈っているよ。」

「ちょっと待って。」

そう、もう一度確認しなければ。
今回の旅の目的を。

「確認するわよ。
この世界にある5つの塔を訪れること。
どの塔でも構わないけど、一度はどこかの塔の2階に上がること。
塔にたどり着いたら、そこに何かを置いて来るか、そこから何かを持ち出すこと。
ただし、奪われた場合は置いてくるに入らない。あくまで自分がそこに置くこと。
これを満たしたら、私を元の世界に返してくれるのね?」

「その通りだ。」

「5つ目の塔にたどり着いたあと、この灯台まで戻らなくてもいいのね?」

「その通りだ。確認はここからで出来るし、ここに君が居なくても君を元の世界に戻せる。」

「これをしないとあなたは私を元の世界に戻せない。」

「その通りだ。あの塔が結界になっていて、呼ぶだけしかできない。塔に私の代理人である君が訪れて、物質に干渉してくれれば、それだけ結界は緩む。そうすれば私の力は多くなり、君の望む世界に帰してあげられるだろう。」

「・・・・・・それは彼女にもできないことなのね?」

「その通りだ。私はこの闇から全く離れられないし、彼女は私から長い時間離れることが出来ない。」

確かに、買い物を済ませてこの塔に帰る途中、彼女はとても具合が悪そうで、灯台に戻るまでに倒れるんじゃないかと心配したぐらいだ。
買い物につきあってくれたようだが、とても申し訳なく感じた。

「わかったわ。それじゃあ、私は行くわね。」

この世界の地図は男から受け取った。
最初に目指すのはエレニア平原。
約1ヶ月の道行きになる。

「くれぐれも無茶をしないように。」

扉をあけて一度だけ振り返る。彼女が私に向かって手を振っていた。

私も手を振って彼女に応え、そして歩き始めた。

 

 

 

 

 

「彼女で大丈夫かな?」

「大丈夫でなくても、アイオナに期待するしかあるまい?
彼女が成功しようと失敗しようと、このゲームが終わるまで次の召喚は出来ないのだから。」

「・・・・・貴方って本当に意地の悪い人ね。」

闇の中でくすくすと声が響く。
アイオナはそんな会話が交わされたことは全く知らない。

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